研究課題/領域番号 |
09740081
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解析学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
飯田 雅人 岩手大学, 人文社会科学部, 講師 (00242264)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 反応拡散系 / ロトカ・ヴォルテラ方程式 / 競争系 / 絶滅 / セパラトリクス / 比較原理 / 棲み分け / アレン・カーン方程式 / 特異極限 / 内部遷移層 |
研究概要 |
本研究では、互いに競争関係にある2種の生物個体群の挙動に対する2種の移動能力の影響を考察することを目的として、ロトカ・ヴォルテラ型の反応拡散方程式系の解の挙動を数学的に解析する。特に、2種の拡散効果を本質的に際立たせるために、2種の競争力を拮抗させて次の問題を設定する:「一方の種が他方よりも至る所で多いような初期分布から始めたら、必ず少ない方の種が絶滅するのか?」 もしも2種とも拡散しなければ、必ず「少数派」の種の方が絶滅してしまうことは、ロトカ・ヴォルテラ(常微分)方程式に対する理論的な解析の結果として知られている。それでは、2種が等しい拡散係数で拡散する場合はどうなるのか?この場合、2種の移動能力が等しいと見なせるから、やはり「少数派」の種の方が絶滅しそうである。そこで、まず数値実験を行い、2種の拡散係数が等しいという条件のもとで、「一方の種が他方の種よりも至る所で多い」ようなさまざまな初期分布に対して、その解の時間発展の様子を調べてみた。たいていの場合にはやはり少数派が絶滅するのだが、中には、「多数派」の方が絶滅してしまう不思議な例も少なからず見られた。この不思議な現象が起こる理由を突き止めるために、拡散項の無いロトカ・ヴォルテラ方程式のセパラトリクスの形状を理論的に調べてみた結果、ロトカ・ヴォルテラ型の2種競争系ではセパラトリクスが常に凸な曲線になっていることを証明できた。この事実と2種競争系に対する比較原理をうまく組み合わせることにより、上記の不思議な現象が起こることを証明することに成功した。 上記の現象をdiffusion-induced extinctionと名づけ、この結果を雑誌JJIAMに発表した。
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