平成9年度までの研究において、非I型可解リー群と、それに自己同型として作用するコンパクト群の対がゲルファント対になるための条件を可解リー群の既約表現の十分大きな族を用いた与えた。これを学術論文として平成9年度雑誌に投稿し、平成10年度発表された。このとき十分大きいということを、函数の分離可能性という形で定義したが、構造的な意味付けが可能であるかが重要な問題である。そこで特に非I型であるという性質を考慮して、原始イデアル全体のなす構造空間を用いて特徴づけるという着想を得た。 上記の内容を整理するために、C^*-群代数を用いた具体的には、群の可跡因子表現の固定部分郡およびその絡表現を求め、それらの作る半直積群の表現の交換子代数の可換性を判定条件とした。これらを記述するには、C^*-群代数の跡から構成される可跡表現と、標準フォンノイマン代数の理論が必要となる。一般にC^*-代数の自己同型をフォンノイマン代数へ拡張するにはギャップがあるが、今研究の対象である非I型連結可解リー群では、このギャップを埋めることができた。特にマウトナー群では、表現の2種類の直積分分解の興味深い関係を得ることができた。 また、前述の学術論文において、既約表現の十分大きな族を用いて、非I型可解リー群上の球函数をすべて記述できることを示したが、さらにマウトナー群等において、可跡表現と絡表現の組み合わせとしての半直積表現の直積分分解を、その十分大きな族を用いて得た。
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