研究概要 |
1. 量子可積分系の分類問題:これは「いくつかの微分作用素が対称性を持つならば互いに可換であるという条件で知られている可積分系を特徴付けることができるか」という問題である。階数が2の場合は自由度が大きく可積分系にも新しいバリエーションがあることを発見した。第1積分にも対称性の仮定を課せばこれで全て尽きること、すなわちもとの問題が階数、対称性の条件付で解決することも証明している。 2. 非可換性の相互作用と固有値問題:非調和振動子を表す微分作用素D^2+x^2は、固有多項式がHermite多項式で表されるなど超幾何的なふるまいをする微分作用素である。これを行列型に拡張した作用素も漠然と超幾何的な微分作用素であると思われてきた。この行列型の作用素のスペクトル問題はPormeggiani-Wakayamaによって扱われたが、彼等とは別の方法でこの問題を捉え、このスペクトル問題がHeunの微分作用素に対するモノドロミー問題(接続問題)と等価であることを示した。Heunの微分作用素は射影直線上の4点に確定特異点を持つ2階常微分方程式であり、超幾何的なふるまいからは程遠く、今までの印象に対するcounterexampleを与えたことになっている。 3. 半単純リー群の冪単表現の次数:一部は西山享、谷口健二との共同研究である。半単純リー群の(無限次元)ユニタリ表現の分類は最終ステージに近づいており、その鍵となるのが冪単(unipotent)表現と呼ばれるパラメータが非常に退化した表現であり、これに対する研究は内外で活発である。symplectic群のoscillator表現(Weil表現)のテンソル積から生ずる冪単表現の次数(Bernsteindegree)の予想から始まり、その証明、他の群への拡張と現在進行中である。この量にはSelberg型積分,錘のガンマ関数,determinotalvariety,古典的不変式論,重複度自由な作用などさまざまな表現論的な対象が(一部は理由もわからず)関与していて面白い。
|