1. 界面方程式の研究 曲率流、あるいは一般に、曲率に依存して発展する界面の運動は、物質科学を含む応用領域科学において近年その重要性がますます認識されてきている。今年度はこれら界面の曲率に依存する発展が、特異なpatternに結び付く場合を、具体的にはらせん模様を現出する場合を考察した。自然界に見られるらせん模様は、その形成の仕方から多くはArchimedesらせんでよく近似される。単純な曲率流の自己相似解としてはArchimedesらせんは得られないことをまず示した。Russiaの物理学者達が導出した運動学的界面方程式の場合には、漸近的にArchimedesらせんを導く解が存在することを示した。 2. 流体方程式の研究 多くの流体方程式は、現在でも応用科学における基礎方程式である。しかし数学としてそれらは難しい対象である。3次元Navier-Stokes方程式の時間大域解の存在は今でも未解決で、そのため大域解が存在するための十分条件が広く議論されている。温度が有界ならば問題は肯定的であるというのはよく知られている。今年度は3次元Boussinesg方程式に関して大域解が存在するための十分条件を考察した。温度と流体との相互作用を記述するのがBoussinesg方程式であるが、そこでも温度が問題の支配的な量であることが示された。
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