研究課題/領域番号 |
09740201
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
国友 浩 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (20202046)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | T-双対性 / 巻き付き数に共役な空間 / 宇宙遷移 / ビッグクランチ / BFSS行列模型 / 超膜理論 / ローレンツ対称性 / 臨界次元 / 宇宙模型 / I型超弦理論 / I'型超弦理論 / Orientifold / D5-brane / 位相的場の理論 |
研究概要 |
1. 弦理論に基づく宇宙模型の構成を目的とする研究。宇宙がトーラス空間にコンパクト化している場合、弦理論は標的空間双対性、あるいはT-双対性と呼ばれる特性を持つ。この結果、ビッグバンの始点以前に大きな宇宙空間が存在し、それが一旦ブランクサイズに収縮(ビッグクランチ)した後、現在の宇宙になるというシナリオを考えることができる。この模型では古典的な宇宙模型に必ず存在するビッグバン始点時の特異点は回避される。更に興味深いことには、ビッグバン以前の空間は、弦の巻き付き数に共役な空間で、ビッグバン始点時に座標の組換えが起こり、通常の紐の重心運動量に共役な座標空間への遷移が起こる。これらの事情を考慮して、(2+1)次元宇宙の時間発展の具体的な解を求めた。また、一方では26次元臨界次元弦理論において、温度効果を考慮してビッグバンの前後での宇宙遷移と.信号の交換の可能性を検討した。 2. 超弦理論における双対性の発見、解析により、11次元超重力理論を低エネルギー有効理論に持つ、M-理論と呼ばれる理論の存在が明らかになってきた。BFSS行列模型は、このM-理論の定義、ひいては超弦理論の構成的な定義を与えるものとして非常に有力な模型と考えられている。一方BFSS行列模型は、11次元超膜理論の正則化された定義と見ることもでき、古典的には11次元以外にも4、5、7次元で定義することができる。しかしながら、この定義は無限運動量系あるいは光円錐系で定義されているために、量子論的にこれらの次元におけるローレンツ対称性が保たれるかどうかは必ずしも自明ではない。この問題を解析するために、BFSS行列模型を超膜理論の正則化ととらえて他の次元に拡張し、1ループのポテンシャルを解析した。その結果、11次元の場合以外ではローレンツ対称性が破れており、超弦理論と同様に超膜の理論においても臨界次元が存在することを明らかにした。
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