研究課題/領域番号 |
09740203
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 一博 広島大学, 理学部, 助手 (50284154)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 宇宙論 / 初期密度揺らぎ / 構造形成 / 宇宙背景放射 / 高赤方偏移天体 / 大規模構造 |
研究概要 |
本研究における成果を以下にまとめる。第一に、初期天体の形成に関連する小さなスケールの線形密度揺らぎの進化を定量的かつ系統的に調べた。バリオン流体と輻射との相互作用について正確な取扱いをし、遷移関数の正確な準解析的表式を与えた。また、ある程度に小さなスケールでは、バリオン流体と輻射との運動に大きなズレが生じるため、ダークマターの重力を種にして再結合前においてもバリオン流体の揺らぎが再び成長することを発見し、その成長が終端速度に対応することを示した。シルク・スケールと呼ばれる小さなスケール以下でも、再結合時にバリオン揺らぎが存在できることが示された点で興味深い。この成果は、杉山・佐藤両氏(京大)とともに学術雑誌Astrophysical Journal及びPhysical Reviewに発表された。 さらに、高赤方偏移宇宙における天体形成の反作用として、宇宙X線背景放射に関する研究を行った。冷たいダークマターを導入した標準的構造形成のモデルでは、形成された天体は、クラスタリング(群れ)をなして分布している。そのクラスタリングが宇宙X線背景放射の揺らぎとしてどのように観測されるか、一般的な理論計算の定式化を与え、簡単なモデルに基づいて揺らぎの予言を行った。この成果は、三浦氏らとともに、Monthly Notice of Royal Astronomical Society及びPhysical Reviewに発表された。 この研究を通して、高赤方偏移宇宙の天体のクラスタリングに関して、観測と比較できるよなう理論的定式化の整備が必要であることを感じ、光円錐効果及び赤方偏移歪みまで考慮した高赤方偏天体の二体相関関数について調べた。研究成果は、須藤氏(東大)、西岡氏(広大)との共著論文としてAstrophysical Journalに掲載予定である。また、初期密度揺らぎ生成の機構と関連して、インフレーション期に相転移のおこるモデルを橋田氏(広大)らと提唱した。これらの研究に関しては、今後も引続き研究が必要である。
|