• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

半導体中の希薄不純物スピンによる低温電子散乱とスピンキャリアー相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 09740227
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
研究機関北海道大学

研究代表者

山本 夕可  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50270781)

研究期間 (年度) 1997 – 1998
研究課題ステータス 完了 (1998年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード電子散乱 / 半導体 / サイクロトロン共鳴 / 磁性不純物 / 半磁性半導体 / エネルギートランスファー / スピン-キャリアー相互作用 / 局在d電子
研究概要

まず、Si:Mnについて遠赤外サイクロトロン共鳴の実験を行なったが、遠赤外光の場合に必要とされる高磁場状況下では、遷移金属不純物による散乱が電子の運動量緩和時間にそれほど大きな影響を与えないことがわかった。次にGaAs:MnInAs:Mnに関して発光測定を行ったところ、有意の発光は得られなかった。これは試料作成時に導入された格子欠陥が非常に有効な再結合中心となっているためと考えられる。このため発光測定は困難であると判明した。
そこで視点を変え、Cd_<1-x>Mn_xTe中のMnのd電子とバンド電子との相互作用の研究からスピンとバンド電子との相互作用を解明することを試みた。この物質では2.0eV付近と1.2eV付近にMn原子のd-d多重項発光と思われる発光が観測されるが、2.0eVの発光については、これまでに線幅の温度依存性や発光エネルギーの励起エネルギー依存性に異常な振る舞いが観測されている。
我々はこれらの異常の原因を解明するため、2.0eVの発光の詳細な時間分解測定を行ったところ、発光寿命と同程度の時定数で発光エネルギーが低エネルギー側にシフトしていくことを観測した。そこで様々に条件を変えて詳しく測定してみると、シフトの様子は励起エネルギーにより変わり、励起スペクトルのピークを境に低エネルギー側ではシフトは小さく、高エネルギー側ではシフトは大きいことがわかった。また、発光線の線幅は発光エネルギーのシフトとともに若干狭くなることも観測した。これらの結果から、エネルギーシフトは不均一分布の中での緩和であることが予想される。我々は実験的に求められた、均一幅、不均一幅、発光寿命などのパラメータを用いて、数値シミュレーションを行ったところ、励起スペクトルと発光スペクトルの重なりに依存したエネルギー移動速度を仮定することによって、シフトの時間依存性がうまく説明できることがわかった。また、こういったエネルギー移動を考えることによって、これまで観測されている、励起エネルギー依存性や温度依存性の異常な振る舞いを定性的に説明することができた。
1.2eV付近の発光については、バンドギャップの大きい試料については、Mnの励起状態を経由した励起が支配的であるのに対して、バンドギャップ小さい試料においては、バンド間励起によって発光が効率的に励起されることがわかった。この場合、励起状態のエネルギーはバンドギャップよりも大きいと考えられるため、これはMnのd電子励起状態とバンド励起状態の混合を考えないと説明できない。現在、d電子とバンドの混合に、格子緩和を取り入れたモデルを検討中である。

報告書

(2件)
  • 1998 実績報告書
  • 1997 実績報告書

研究成果

(10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Sekika Yamamoto: "Electron scattering by Mn Impurlties in Si detected by Cycrotron Resonance measurement" Japanese Journal of Applied Physics. vol36. 1112-1118 (1997)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] Jae Dong Park: "Decay Profiles of Mm^<2f>Photoluminescence in CdMm Te" Journal of Physical Society of Japan. 66・10. 3289-3293 (1997)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] Sekika Yamamoto: "Energy Transfer between Mm Ions in Semimagnetic Semiconductors" Physica Status Solidi(b). 211. 111-116 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] Junichiro Nakahara: "Decay Process of Photo luminescence in CdMmTe" Physica Status Solidi(b). 211. 223-231 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 朴載東: "Decay Profiles of Mn^<2+> Photoluminescence in CdMnTe" J.Phys.Soc.Jap.66・10. 3289-3293 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 山本夕可: "Decay Profiles of Mn^<2+> Photoluminescence in CdMnTe" Proc 11 th International Conf.on Ternary & Multinary Compounds. 1.117-1.117 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 篁耕司: "Excitation Spectra in CdMnTe" Proc.11th Int.Conf.on Ternary &Multinary Compounds. 1.115-1.115 (1977)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 篁耕司: "Optical Properties in Zinc-blende MnTeSb Films" Proc.11th Int.Conf on Ternary & Multinary Compounds. 1.116-1.116 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 伊藤和章: "Pressure Dependence of Photoluminescence Spectra in CuAlS_2 doped with Lanthanide" Proc.Int.Conf.on High Pressure Science and Technology (Joint Conf.AIRAPT16 & HPCJ98). 688-688 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書
  • [文献書誌] 篁耕司: "Temperature Dependence of Mn^<2+> Optical Transition in Mn Based Semiconductors" Proc.Sym.on the Physics and Application of 3rd Spin-Related phenomena in Semiconductors. 144-147 (1997)

    • 関連する報告書
      1997 実績報告書

URL: 

公開日: 1997-03-31   更新日: 2020-05-15  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi