研究課題/領域番号 |
09740232
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
郡司 茂樹 筑波大学, 物理学系・計算物理学研究センター, 助手 (30282297)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 電子格子相互作用 / 第一原理計算 / 密度汎関数法 / 線型応答理論 / フォノン / 線形応答理論 / 超伝導 / Si表面 / 表面フォノン |
研究概要 |
フォノンはすべての物質に存在する普遍的なものであるから、電子-格子相互作用に関する知見は多くの物質で重要な情報を提供する。ところが、これまで第一原理的な電子-格子相互作用の計算手法と云えばFrozen Phonon法のみであった。最近、Baroniらによって密度汎関数法と線形応答理論を組み合わせてフォノン分散関係を求める第一原理計算法が提案され、注目を集めている。この方法をさらに拡張することにより、電子-格子相互作用を第一原理計算から求めることが可能となる。 本研究では、まずBaroniらの方法を拡張し、電子-格子相互作用を第一原理計算から求める方法論の定式化を行った。さらに定式化された方法論に基づいて電子-格子相互作用を計算するためのプログラムを開発した。そして、電子-格子相互作用の性質がよく分かっているバルクのSiにこれを適用した結果、実験と良い一致を示すことが判明し、その妥当性をチェックすることができた。 また、今回の新しい方法によれば任意の波数のフォノンを取扱うことが可能であり、逆格子ベクトルと整合な波数ベクトルを持ったフォノンしか扱うことができなかった従来のFrozen Phonon法と比べて大きな利点を持っている。従って今後、銅酸化物高温超伝導体、及びSi表面にこの方法を適用し、電子-格子相互作用が固体電子物性に与える様々な影響を明らかにしてゆくことを計画している。銅酸化物高温超伝導体において、現在までに行われている計算はすべてFrozen Phonon法によるものであって、波数依存性まで含めた電子-格子相互作用の総合的理解には至っていない。また、Si表面への応用はこれまで全く報告がないが、にもかかわらず、最近の技術発展によって表面における原子レベルの操作が可能となり、これに伴い表面フォノンがSi表面の電子状態に及ぼす影響の解明が緊急の課題となっている。これら一連の研究は、産業界の要請に答える意味でも重要である。
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