研究課題/領域番号 |
09740261
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20241565)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 有機超伝導体 / 量子磁束液体 / 磁束格子融解転移 |
研究概要 |
補助金交付最終年度である今年度は有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)@S22@E2Cu(NCS)@S22@E2の単結晶を継続的に育成し、出発原料の精製、再結晶を繰り返して行い、単結晶試料の品質をより向上させることができた。これらの単結晶を用いて、極低温度における量子ゆらぎによる磁束液体状態の存在を検証し、またその性質を明らかにするべく希釈冷凍機温度(1K以下50mKまで)での磁気トルク、電気伝導度測定を行い、以下のような結果を得た。1、磁気トルクの測定から不可逆曲線は高温領域での指数関数的振る舞から1K以下で温度に比例した振る舞いをし、その絶対零度への外挿値(4T)は平均場的上部臨界磁場(6T)よりもかなり低い磁場を示す。この事はこの磁場範囲(4・6T)では絶対零度においても有限の磁束液体状態が存在することを示している。この温度域では熱ゆらぎの寄与はほとんどないと考えられるので量子ゆらぎによる磁束液体、すなわち磁束量子液体状態が存在し、それを検証したものである。2、この状態での電気伝導度の測定を行い、予備的な結果としてT=0近傍の高磁場領域で抵抗の非単調的な振る舞いが観測された。これは理論的に予測されるT=0での超伝導ゆらぎが絶縁体的になった結果ではないかと考え、さらに実験を進めている。3、この系の磁束融解転移は1次相転移である考えられてきが実験的な検証はなされていなかった。微少ホール素子を使った局所磁化測定により1次転移に伴う磁化の不連続な振る舞いを見出し、その温度依存性などから確かに1次の磁束融解相転移が起こっていることを検証した。
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