研究概要 |
3d,4f,5f系物質の電子磁性状態だけでなく,特に重いフェルミオンおよび中間価数フェルミレベル付近の磁性電子構造を知るために有効である,遠赤外域での磁気光学分光の研究を行った.まず初年度には,現有する遠赤外光分光システムを遠赤外域まで網羅する磁気遠赤外光学システムに改造し,次年度にはこの装置を用いて電子構造の低エネルギー励起状態を測定することにより,重いフェルミオンおよび中間価数フェルミレベル付近の磁性電子構造を調べることを目的としている.具体的に,初年度を終えた現段階では以下に示すように装置の作製および測定を行った. (1)既存の分光測光器を磁気-光学用の測光器に改造した (2)光学測定技術をミリ波測定技術へ適用した (3)Yb4x3系サンプルの光学および磁気-光学的性質の測定を行った (4)Yb4x3系サンプルのサイクロトロン共鳴(共振)を測定した 以上の実験から,イットリウムおよびセリウムのいくつかの化合物について,スピン偏光の電子状態の信号を検出できた.これらの電子状態はフェルミレベルに近いため,フォトエミッションなどの他の分光法では見ることができない.これは,本法のエネルギー分解能や電磁状態の感度が従来法に比べ飛躍的に優れているためであり,本研究は希土類の磁気特性理解のために重要な一歩であると考えられる.
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