研究概要 |
今年度はLa_<2-x>Sr_xNiO_4系のうちcommensurateな電荷整列を起こすx=1/3,1/2以外の組成の試料を作製し、その抵抗率、ホール係数、光学スペクトルの温度変化、ラマン散乱スペクトルなどを測定した。x=1/3から組成をずらすことによって電荷整列相転移にともなう抵抗率の異常が小さくなることがわかった。ホール係数の測定からはx=1/3前後の組成でキャリアの符号が反転し、x=1/3からのずれの分が余剰キャリアとして振る舞っていることを見いだした。x=1/3の組成で電荷整列転移温度以下で低エネルギー部分の光学伝導度が減少し、10Kにおいては0.26eVのギャップが開くことが我々の測定によって明らかにされていたが、x=1/3前後の組成、すなわちx=0.30,0.39の組成においても電荷整列転移温度以下でギャップ的な構造が成長することを見いだした。しかし最低温においてもそのギャップ構造はx=1/3に比してなまっており、この結果はホール係数の測定より得られた結論、すなわちx=1/3からのずれの分が余剰キャリアとして振る舞う、という描像と合致するものである。またラマン散乱スペクトルの測定から、電荷整列転移温度以下で電子ラマン散乱強度が急速に抑制され、2-マグノンによる散乱ピークが2本現れることを明らかにした。また、電荷整列にともない格子の対称性が低下フォノン散乱によるピークが活性化されるが、このフォノンピークは電荷整列転移温度以上から現れ始め、電荷整列転移の揺らぎをラマン散乱というダイナミカルなプローブによって観測した。
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