1. ダイヤモンドアンビルセル(DAC)で液体媒体を用いることにより、高静水圧下での電気抵抗測定を行うことに成功した。DACは数百万気圧に及ぶ超高圧発生が可能なデバイスで、この度液体媒体を用いた電気抵抗測定技術を確立したことにより、本研究のテーマである20万気圧を超える圧力までの高い静水圧下での圧力誘起超伝導の探索が行えるようになった。この技術では穴のあいた絶縁ガスケットの開発、マイクロマニピュレーターを用いた融着法による微小試料への電極付けの開発が行われた。 この技術を用いて、CeRh_2Si_2の圧力誘起超伝導の探索を行った。1.2GPaで超伝導と思われる電気抵抗の落ち(Tc〜0.6K)を観測したが零抵抗は観測されなかった。この超伝導が本質的であるかどうかは、今後の試料依存性の研究が必要である。重い電子系CeCu_6、CeB_6についても実験を行ったが、未だ超伝導は観測されていない。 2. 前年度開発した5GPa級インデンター型高圧セルを用いて、交流帯磁率測定によるPbのマイスナー効果の測定を行い、低温で5GPaの発生圧力を記録した。Pbは圧力決定物質として用いられる。またTiの超伝導転移(Tc〜0.39K)を確認し、極低温での使用が可能であることがわかった。これを用いて現在CeIn_3の圧力誘起超伝導の探索を行っている。 3. 3GPa級非磁性ピストン-シリンダー型高圧セルについては電極の試料空間への導入が困難であり、まだ実用化には至っていない。予備実験としてはこの高圧セルを用いたNMR測定を常圧下で行いスペクトルに大きな変化がないことを確認した。
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