研究課題/領域番号 |
09740283
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
成清 修 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (60252631)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 銅酸化物高温超伝導 / ネストしたスピンゆらぎ / 遍歴・局在双対性 / 異常金属相 / 擬ギャップ / 2次元フェルミ流体 / 量子臨界点 / 磁気転移点 / 非フェルミ流体 / スピンゆらぎ |
研究概要 |
磁気転移近傍の異常金属相の物性がフェルミ流体論の枠組みを拡張することで理解できることをいくつかの場合について理論的に明らかにした。 1. 重い電子系合金の磁気的量子臨界点 重い電子系の合金は磁気的量子臨界点の近傍に位置するものが多く、主に反強磁性スピンゆらぎが支配的なゆらぎとなっている。この場合の一様磁化率は理論的に計算されたことがなかったので、反強磁性スピンゆらぎに対するモード結合理論を用いて初めて計算した。その結果、非自明な幕の温度依存性が得られ、これまで説明されていなかった実験結果を理解することができた。また、このとき、従来は無視されていたスピンゆらぎの零点振動の寄与が重要であることが明らかになった。モード結合理論で得られた結果はフェルミ流体論の枠組みで理解することができることも明らかにしつつある。 2. 銅酸化物高温超伝導体の擬ギャップ 銅酸化物高温超伝導体で見られる擬ギャップが、反強磁性絶縁体近傍で一般的に見られるものであることを明らかにした。反強磁性絶縁体での励起はスピン波で尽くされるが、反強磁性絶縁体近傍の金属相でも、かなりのスピンゆらぎのウエイトがスピン波的になっている。短距離の反強磁性相関が発達し、低エネルギーのスピンゆらぎのウエイトが高エネルギーのスピン波的な部分に移動するのが擬ギャップとして観測される。スピンゆらぎのスペクトルウエイトの移動に伴って、1電子のスペクトルにも擬ギャップが見られる。 3. 2次元ハバード模型でのフェルミ流体 2次元ハバード模型に梯子近似を用いた計算で非解析的な結果が得られ、非フェルミ流体を示唆するものであるとの主張がなされていたが、2次元では梯子近似が正しくないことを示し、ほぼ厳密に、2次元ハバード模型の電子状態が、ハーフフィリングの不安定性を除いて、フェルミ流体であることを明らかにした。
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