研究課題/領域番号 |
09740294
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00221812)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | メゾスコピック系 / 量子ドット / クーロン振動 / 多体効果 / 電子相関 / 量子準位統計 / クーロン・ブロッケード / 準位統計 |
研究概要 |
本研究では、半導体量子ドット中の離散準位と多体効果の競合の問題に理論的に取り組んでいる。今年度は、(1)ドット中の少数電子系の多体状態、特に高磁場下での強い電子相関の電子状態と電気伝導特性への影響、(2)ランダム系での準位統計に対する相関効果、の考察を行った。 最近のクーロン振動の実験を説明するため、2次元調和振動子型のポテンシャル中の少数電子系に対し、電子間相互作用を厳密対角化の方法で取り入れて基底状態、低励起状態を求めた。さらにその電子状態を用いて電気伝導度を計算した。高磁場下では、(i)電子がスピンをそろえて1電子準位を一つずつ占有するMaximum Density Droplet状態が、ある磁場領域において現れること、(ii)その領域は電子数の増加とともに狭くなること、(iii)さらに高磁場下では相関効果が非常に強い基底状態が現れ、その影響で伝導度が顕著に抑制されること、を明らかにした。(i),(ii)は実験結果と判定量的な一致を示し、また(iii)に関してもクーロン振動のピークの高さに着目することで観測が期待される。 ランダムな量子ドット中の離散準位の分布は、ランダム行列理論の予言する準位統計からずれることが実験的に指摘されている。平均場近似やRPAの範囲の理論計算では実験結果が十分に説明できない。我々は基底状態のエネルギーに対して、クーロン相互作用の摂動計算を試み、対励起型の電子相関の寄与がランダム平均で消えずに残ること、その効果が準位絖計に質的な影響を与えること、を指摘した。新たに提案した準位分布は、定性的に実験結果と良く一致することが分かった。
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