研究概要 |
本研究において、砂の動力学でも特に砂丘と風紋の運動に関して、簡単な動力学模型を提案した。この模型に基づいて計算機実験を実行し、バルハン砂丘星型砂丘、セイフ砂丘、横列砂丘など観測から広く知られている砂丘の典型的形状を、Wassonらの観測報告(1983,Nature,Vol.304,p337)と同様の環境変数のもとで再現することに成功した。さらに、時間に依存して2つの方向から風が吹くときの相対角および相対強度と、そのもとで形成される砂丘の尾根の方向の関係について観測事実、および風紋の尾根に関するRubinらの実験報告(1983,Science Vol.237,p276)、計算機実験によって再現した。また、上の実験事実から提案された仮説、すなわち、尾根への垂直な成分の砂輸送が最大になるように尾根の方向が選ばれるという、いわゆる、「miximum gross bed from-normal transport」仮説の理論的裏付けに成功した。 これらの研究内容は、次の欄に記された発表論文の中で報告された他、2度の国際研究集会(リヨン市、および、コペンハーゲン市)における招待講演として発表された。さらに、研究資料収集、および研究推進の中で得られた知見を生かして,日本物理学会から刊行予定の粉体の物理に関する論文選集の編集および解説の執筆を行っている。また、植生を考慮した砂丘の動力学模型を構築中であり、砂表面の一部に植物が生えたとき出現する砂丘の形状を再現する予備的な数値計算に成功した。
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