研究概要 |
コレステリック液晶を垂直配向剤を塗布した2枚のガラス板に封入する。ガラス板の間隔を螺旋周期より僅かに大きくしておくと、液晶が自発的に螺旋を巻いてコレステリック(Ch)状態になる力が、配向剤が液晶をガラスに垂直に配向させてネマチック(N)状態を取らせる力より大きくなり、セルの全領域がCh状態になる。セルに十分強い電場を印加すると、液晶分子にガラス面に垂直に配向させる力が働きセル全体がN相になる。電場を減少させていくと、ある閾値V_1でN相が準安定,Ch相が安定になり、フィンガー状のCh相の核が生成し、そこから指状のドメイン(コレステリックフィンガーパターン)が成長する。この問題は、N-Chの相転移に関する結晶成長の問題と位置づけられる。V_1からある閾値V_2の電圧範囲(V_1>V_2)では、孤立した指状のドメインの先端が延びながら成長する。V_2より低い電圧では、指状のドメインが先端分岐を繰り返して成長する。本年度の研究では、磁場の中でのこの先端分岐の解析を行った。 V_2以下の電圧では樹枝状のフィンガーパターンが出、現しほぼ等方的な円状に成長する。磁場の下では、樹枝状のフィンガーパターンは磁場方向に長い楕円形になり、磁場方向の成長速度は垂直方向よりも早くなることが分かった。樹枝状のフィンガーパターンでは核から放射状に先端分岐が起こるので、分岐後のフィンガーの成長方向は分岐前とほぼ同じ方向である。しかし、一旦孤立した真直ぐに延びるフィンガーを作成してから電圧をV_2以下に下げると、先端分岐は成長方向に対してほぼ垂直に起きることが分かった。この分岐の形態も磁場の強さに依存し、同じ電圧でも周囲に別のフィンガーの有無によって分岐の形態は変化することが分かった。そこで、樹枝状のフィンガーパターンおよび、孤立したフィンガーパターンでの先端分岐の形態を定量的に調べるために、先端の曲率&先端幅の時間依存性,分岐方向の角度,分岐間距離を画像解析を用いて測定した。そして、これらの物理量の磁場依存性を明らかにした。
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