研究課題/領域番号 |
09740322
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
首藤 啓 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (60206258)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | カオス / 量子カオス / 半古典論 / ビリヤード問題 / 逆問題 / フレドホルム積分方程式論 / ジュリア集合 / トンネル現象 / 複素半古典論 / 複素古典力学 / 跡公式 / フレドホルム行列 |
研究概要 |
古典極限でカオスを示すような非可積分な量子力学系の性質を、半古典論を用いて解析することによって以下の結果を得た。 1. 前年度の研究において、量子ビリヤード問題の固有状態を計算する際に用いられる境界要素法(Boundary Element Method)に現れる積分方程式がフレドホルムの第2種の積分方程式の形をしていることを用い、境界要素法の積分核が対応する量子ビリヤード問題の内側固有値問題と外側散乱問題の、それぞれ固有値、散乱S行列の極の情報をすべて持っていることを見つけたが、どこまで内側固有値問題と外側散乱問題が独立とみなせるか?という点に関して検討するため、まず内側固有値問題に対する等スペクトルの問題(M.Kacによって提出された有名な逆問題(太鼓の形を聞くことはできるか?)を平面ビリヤード問題の場合について検討した。平面ビリヤード問題で等スペクトルの反例を見つける方法であるTransplantationの方法を用いることにより、具体的に内側固有値問題と外側散乱問題の比較を行ういくつかの例を構成することに成功した。外側散乱問題に対する等極問題(isoscattering problem)の定式化を検討中である。 2. カオスが関与する多自由度トンネル現象を動的トンネリングに対して調べ,カオス系のトンネル現象に重要な複素トンネル軌道と、複素力学系研究の中での中心的概念であるジュリア集合との関係を発見し、多数の複素経路の候補の中から連鎖構造をもつ特徴的な経路のみがトンネル経路として峻別される数理的な背景を明らかにした。
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