研究概要 |
1. デマジュール加群の結晶基底デマジュール加群の結晶基底がパスによりどう実現されるかについての一般的な定理を得た。これを用いて、デマジュール結晶の具体形を非例外型の量子アフィン代数の典型的な場合について決定し、その指標と格子模型の1次元状態和との関係を明らかにした。 2. 有限温度臨界XXZ模型XXZ模型でqが1のべき根に相当する場合に、Takahashi-Suzuki数という数を用いたストリング仮説が用いられる。我々は、転送行列の関数方程式が、ちょうどTakahashi-Suzuki数のフュージョン階数をもつもののみで閉じることを発見し、量子転送行列の手法でtransverse,longitudinal相関長についての積分方程式を導いた。数値解析によりこれを解き、低温で共形場理論と整合する温度依存性をグラフとして得た。 3. 1次元状態和のフェルミオン的公式一般の非ねじれ型アフィンリー環について有限次元既約表現の結晶基底の存在や性質、それらから構成される非一様な古典制限バスの1次元状態和のフエルミオン的公式を予想した。特に、A型の場合は非制限パスの1次元状態和についてもフェルミオン的表示を得、その極限として、ストリング関数の公式に新たな証明を与えた。また、パスの長さ無限大の極限においてフェルミオン的公式はスピノン指標公式に帰着することを証明した。更にq=1では全てのルート系に対し上記の古典制限1次元状態和についての予想を弱い形ではあるが証明した。 4. 有限結晶とパスperfectとは限らない結晶からなるパスを導入し、その表現論的意味付けを行った。典型的な例として、C型では、そのようなパスがA加群をC加群とみなしたものとのテンソル積の結晶と一致することを証明した。また、A型ではレベルの異なるperfect結晶のテンソル積をユニットとして構成されるパスが、最高ウエイト表現の結晶のテンソル積になることを証明した。これらはいづれもベーテ仮説の結果の表現論的な背景をなす。 5. q=0のベーテ方程式と組み合わせ論的完全性q=0におけるベーテ方程式の解の個数をストリング仮説に基づいて数え上げる公式を提唱した。これにより、従来のq=1における組み合わせ論的完全性と相補的ともいえるウエイト多重度についての公式がA.B,C,D型で証明された。
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