研究課題/領域番号 |
09740329
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
桂川 眞幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (10251711)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 固体水素 / 単結晶 / 結晶成長 / 非線形光学 / 誘導ラマン散乱 / 位相緩和 |
研究概要 |
固体水素は水素分子を単位とする量子固体で、その際立った特徴は、固体にもかかわらず振動、回転の自由度が孤立した分子のように良く量子化された状態であることにある。孤立した分子としてのシャープな共鳴特性と固体の密度を併せ持つという特徴は、従来の非線形光学媒質としては全く取り扱われなかった対象で、我々はここに着目して、従来の限界を超えた様々な非線形光学過程を見出すことを目的に研究をおこなっている。 本研究の目的は、非線形光学過程の研究に十分な品質をもった固体水素単結晶の製作方法を確立することにある。結晶成長は、液相から試みた。液相からの結晶成長は、従来からも三重点付近では可能なことが知られていたが、この時の最大の問題は、結晶を冷却すると収縮による結晶の破壊がおこることにあった。結晶の破壊は、冷却時に結晶がセルの中で負圧の状態に置かれることによる。本研究では、OKでも結晶が負圧の状態にならないだけの高圧(〜30気圧)を結晶成長の初期条件として与えることでこの問題点を解決することを試みた。高圧(30気圧)をかけて液相より成長させることにより、液体He温度(4.2K)においても光学的に全く透明な結晶を得ることに成功した。 結晶のサイズは、直径8mm、厚み10mmである。より定量的な結晶の評価は、振動励起状態の位相緩和時間からおこなった。コヒーレントアンチストークスラマン分光法で評価した位相緩和時間は、これまでに報告された値よりも2桁長い値(〜5μs)を示し、結晶の品質が格段に改善されたことを確認することができた。さらに、この技術をもとに薄膜の結晶を作ることを試みた。30気圧の高圧に耐えうる数十ミクロンの隙間を持った光学セルを、常温から低温への熱収縮を考慮して如何に設計するかがポイントであった。60ミクロンの厚み光学的に透明な薄膜固体水素結晶を作ることに成功した。この技術が確立したところで、10ミクロン以上、任意の厚みの薄膜結晶をつくることが可能になった。
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