研究課題/領域番号 |
09740338
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野崎 浩二 山口大学, 理学部, 助手 (80253136)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | アルカン / カイネティクス / 一次核生成 / 固相転移 / 1次相転移 / 長鎖分子 / 成長カイネティクス / 相転移 / 核生成 / X線回折 / その場観察 |
研究概要 |
脂質系分子結晶の相転移カイネティクスについてn-アルカンバルク結晶の回転相転移を中心にX線回折、熱分析、光学顕微鏡その場観察などの手法により調べた。その結果、n-アルカン結晶の回転相転移(1次相転移)は、一次核生成と成長により進行することが実験的に確認された。一次核の生成頻度の温度依存性より、一次核生成は不均一核生成であることが半定量的に示された。相転移開始時の結晶モルフォロジーの変化から、回転相転移は結晶平面での“wrinkle"の形成という前駆現象の後、このwrinkleのところで一次核が生成することも突き止めた。このwrinkleが形成される部分は、結晶成長の段階で欠陥が生じた部分であると予想される。一般に固相転移の一次核生成は欠陥や端で起ると考えられており、この結果はそれが実証された。1次相転移のカイネティクスに関する実験的な研究は、結晶化現象が中心であり、固相転移は短時間で完了するためにカイネティクスの実験的な研究対象にはあまり取り上げられなかった。しかしながら、この研究では、今までには漠然と予想されていた、“固相ー固相間で起る1次相転移が結晶化などによく見られるように一次核生成と成長により進行すること"が実験的に実証された。さらに、回転相転移における回転相の成長のカイネティクスも、実験的に調べた。成長速度の温度依存性より、成長は成長面での2次元核の生成により制御されていることもわかった。 次に薄膜状態の試料やマトリックス中の微小領域に閉じ込められた試料などの相転移挙動を調べ、バルクの場合と比較する検討に着手した。最初に酢酸ビニルポリマーをマトリックスにし、n-アルカンを数μm領域に閉じ込めたdroplet試料についてその相転移挙動を調べた。昇温過程ではバルク結晶と比較して変化はないが、降温過程では結晶化や固相転移が大きい過冷却を伴うことが明らかになった。これは降温過程における核生成メカニズムがバルク試料では不均一核生成であったのに対し、dropletでは均一核生成になったためであると予想される。過去のfree dropletを使用した結晶化の実験でも同様な現象が起ることが示されている。 このように試料環境の異なる場合は相転移挙動に大きく影響し、将来的な分子デバイス設計の検討時には重要な情報となるであろう。
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