研究概要 |
本年度の研究の最大の成果は,長基線方式音響位置決定システムを制御電流源電気探査システムと組み合わせる事に成功した事である.海洋人工電流探査法(ERER法)先進国であるカナダ・トロント大学理学部物理学科教授ナイジェル・エドワ-ズ博士とのインターネットを介した議論により,ソース・レシーバー間の距離を決定する事が電磁気的走時を測定する事に劣らず実験的には重要である事が分かった.これは,第一義的観測量である電磁気的走時をΔtとした時,ΔtはΔt=σμr^2で与えられソース・レシーバー間の距離rの二乗に比例するからである.ここのμ及びσは各々透磁率(定数)と求めるべき地球内部電気伝導度である.そこで今年度は,東京大学海洋研究所藤本博巳助教授の協力を得て長基線方式音響位置決定システムが制御電流源電気探査システムに組み込み可能であるかどうかを試す海域実験を東京大学海洋研究所研究船「淡青丸」を用いて行い,船上GPSとの併用により電磁気的走時測定に匹敵する精度でソース・レシーバー間の相対距離を求める事が出来る点を確認した.これにより,これまで距離測定の不確定さの為マスクされていた電磁気的走時測定精度限界まで探査システム全体としての精度を向上させる事が可能になり,国際的にも遜色ないか,または,一歩進んだシステムを作る目途が立った. また,これら本年度の成果は10月に米国ロードアイランド州ブラウン大学で行われたMELT計画ワークショップ及び11月に千葉県かずさアカデミーアパークで行われた海半球計画国際シンポジウムにおいて発表する事が出来た.
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