研究課題/領域番号 |
09740391
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
岩石・鉱物・鉱床学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三河内 岳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30272462)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 火星隕石 / 火星生命 / 炭酸塩鉱物 / 輝石 / マスケリナイト / FE-SEM |
研究概要 |
昨年度の研究に引き続いて、本研究の主目的である火星隕石やまと793605隕石の中に火星で形成された二次鉱物の存在を探すことを行なったが、結局そのような相は見い出すことができなかった。そこで、本年度は、昨年度の研究を受けて、火星隕石中の衝撃を受けた斜長石についての研究を主に行なった。生命の痕跡が問題となった火星隕石ALH84001には、衝撃による影響を受けてガラス化した斜長石が含まれているが、同じく衝撃を受けた炭酸塩鉱物との関係を知ることが生命存在の問題に大きく関わってくる。本年度は、様々な火星隕石および月隕石に含まれている斜長石を、複数の鉱物学的手法を駆使して、その鉱物学的特徴を明らかにすることを試みた。まず、実験として、ガラス化した斜長石(マスケリナイト)を含んでいる火星隕石Zagamiを加熱し、マスケリナイトの変化の様子を観察した。その結果、900°Cで1時間加熱の試料では、特に大きな変化が見られず、マスケリナイトは光学的にほぼ非晶質のままだったが、4時間以上加熱したマスケリナイトでは、元々のグレインのエッジから再結晶が始まっていた。再結晶した部分は細粒状の斜長石ドメインからなっており、偏光顕微鏡で観察すると、それぞれのドメインの光学軸は、お互いにばらばらの方向を向いていた。Zagami中のマスケリナイトは、衝撃によるディスオーダーの度合が大きく、そのため再結晶した斜長石は元のグレインの光学軸を再現できなかったものと考えられる。一方で、月隕石のやまと793169中の斜長石は、元々のグレインの外形を残しているが、その内部は細粒状の斜長石ドメインからなっている。この組織は、加熱したzagami隕石のマスケリナイトに非常によく似ているが、偏光顕微鏡による観察では、それぞれの細粒状のドメインの光学軸はかなりそろっており、全体的には元のグレインの光学軸を保持している。これらの結果は、火星隕石中の斜長石ガラスの方が、月隕石中のものよりもディスオーダーの度合が大きいことを示しており、月隕石の衝撃の度合が火星隕石のものよりも弱かったことに対応していることが分かった。
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