本研究では、南九州のテクトニクスの成因について岩石学的見地から明らかにすることを目的として、北薩地域の火山岩類(主に玄武岩〜安山岩)のサンプリングを行い、岩石の主成分・微量成分組成およびSr-Nd同位体組成の分析を行った.大部分の火山岩類は、微量元素組成からプレート沈み込み帯に産する火山岩の特徴を示す.しかし2Maおよび1Maの岩石の一部にはプレートに沈み込みに関係しない海洋島玄武岩に化学組成が類似したものがみられた。このマグマの起源物質(マントル)は、深部から貫入してきたアセノスフェアに由来すると考えられる.このアセノスフェアのマントルウェッジへの貫入によって、1)当地域下のフィリピン海プレートの深さ約70km付近での折れ曲がり、2)火山活動域(火山フロント)の東進、3)地殻の回転運動(4-2Ma)が引き起こされたモデルを考えた。以上の成果は、平成10年2月3日の岩鉱学会(於東北大学)にて口頭発表を行った。
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