研究概要 |
本年度は,1.スメクタイトのメソ細孔制御,2.メソ細孔内の金属微粒子サイズ,3.高分子の水素化反応について検討した。 1. 水ガラス,塩化マグネシウム,界面活性剤を前駆体として水熱法によりスメクタイトを調製した。メソ細孔サイズは界面活性剤の添加,および添加順序により変化した。無添加合成により調製したスメクタイトには40Åのメソ細孔が存在した。水熱合成時に添加すると,メソ細孔は100〜120人に拡がった。合成後に界面活性剤を添加し焼成すると70〜80Åのメソ細孔ができた。水熱時に界面活性剤が存在するとスメクタイトの成長が促進されること,焼成時に界面活性剤が存在するとスメクタイト片の配向が変化することが分かった。 2. テトラアンミンジクロロパラジウムを前駆体としてイオン交換法と水素還元処理により合成スメクタイトの細孔内にパラジウム微粒子を導入した。水素吸着実験では径に関係なく分散度1のパラジウム金属微粒子がメソ細孔内に形成され,メソポア径は金属微粒子のサイズと無関係であると分かった。 3. メソ細孔径の異なるパラジウム担持スメクタイト触媒を用いて,アセトン中で平均分子量3000のアクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)水素化反応を調べた。スメクタイトのポア径の大きさに関係なく,NBRの炭素炭素間二重結合の水素化活性は低くサイズ選択性は存在しなかった。ポア径による反応活性のしきい値は存在しなかった。四塩化炭素を溶媒とした場合では,細孔径が40〜60Åより大きなスメクタイトを用いると反応が進行し,それより小さな細孔をもつ触媒では反応が進行しないサイズ選択性が存在した。四塩化炭素はNBRの貧溶媒であるのに対し,アセトンはNBRの良溶媒であることを考慮すると,アセトン中では溶液内においてNBRは大きく拡がりメソポア内に十分に入り込めず反応がほとんど進行しなかったと考えられる。
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