研究課題/領域番号 |
09740430
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
若林 知成 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (30273428)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | carbon clusters / monocyclic rings / laser ablation / mass spectroscopy / matrix isolation / UV absorption / photoelectron spectroscopy / IR absorption / UV-vis absorption / dethydroannulenes |
研究概要 |
C_<60>をはじめとするフラーレン分子の生成中間体として、また、未同定の星間空間バンドの起源物質として注目を集めている、環状構造の炭素クラスターC_nについて、電子状態、振動構造を明らかにするために、グラファイトのタンデムパルスレーザー光照射による質量分析法、および、低温マトリックス分離分光法を用いた研究を行った。 環状構造の炭素クラスターは、ヘリウム等の冷却ガス中でグラファイトのレーザー蒸発を行うことにより生成することが知られているが、本研究では、冷却ガスのない条件下で炭素棒のレーザーアブレーションを行い、環状炭素クラスターの生成を試みた。検出の都合上、測定は負イオンについて行った。真空中でグラファイト表面に単発のパルスレーザー光を照射して生成する負イオンは、そのほとんどが直鎖構造のクラスターであるが、レーザー光照射の約100μs後に、別のパルスレーザー光を同じグラファイト表面に照射することによって、先の照射により生成した中性炭素クラスターに電子付着させると、C_<10^->負イオンが選択的に生成することが明らかになった。このC_<10^->について光電子スペクトルを測定し、電子親和力、バンド構造等の考察から、C_<10^->およびC_<10>が環状構造であることを確認した。真空中のレーザーアブレーションにより、環状構造の炭素クラスターが生成するという報告は過去に例がない。 低温マトリックス分離分光では、未同定の紫外吸収帯の整理をほぼ終え、その帰属は最終的な詰めの段階にきている。真空中で環状構造の炭素クラスター、特にC_<10>が多く生成することから、未同定バンドの幾つかは環状構造の炭素クラスターに帰属されると考えられる。
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