研究概要 |
1.新規サレン-コバルト錯体を用いたメソジエポキシ化合物のエナンチオ選択反応 中心金属にコバルト、マンガンなどを持つ新規サレン錯体を合成し、この触媒が持つエポキシ基へのエナンチオ選択反応性について評価した。反応の基質としては光学不活性なジエポキシ化合物、1,2:5,6-ジアンヒドロ-3,4-ジ-O-メチルアリトールなどを用い、この化合物の水添反応(開環環化反応)におけるエナンチオ選択性、立体選択性を確かめた。新規サレン-コバルト錯体を用いない反応では、5員環の2,5-アンヒドロ-3,4-ジ-O-メチル-DL-アルトリトールと6員環の1,5-アンヒドロ-3,4-ジ-O-メチル-DL-アリトールが94対6の割合で生成したのに対し、新規サレン錯体を用いた反応では、75対25と立体選択性が変化した。また、生成物の旋光度は5員環生成物で[α]_D=+30.3、6員環生成物で[α]_D=+66.2となり、新規サレン-コバルト錯体はジエポキシ化合物に対してエナンチオ選択性を示した。 2.キラルメタロセン触媒を用いた二官能性化合物の環化重合 キラルな配位子を有するジルコノセンおよびチタノセンを調整し、α,ω-ジエンとして1,5-ヘキサジエンの環化重合を行った。重合は収率90%以上で進行し、得られたポリマーの分子量は2万から4万程度であった。環化率はどの条件においても97%以上であった。また、環化ユニットのシクロペンタン環のトランスの割合は65%程度であった。しかしながら、ポリマーには旋光度が無く、アキラルポリマーが生成した。
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