研究概要 |
(i)前年度、白金-ルテニウム二核錯体[Ru(bpy)_2(4,4'-bis[(3-aminopropyl)amino-carbonyl]-2,2'-bipyrdine)PtCl_2](PF_6)_2を合成し、この錯体が光化学的にDNAを切断することを見いだし、報告した。本年度は、[Ru(bpy)_2(4,4'-bis[NH_2-(CH_2)_x-NHCO]-2,2'-bipyrdine)](CF_3CO_2)_2と硝酸ニッケルをメタノール中で反応させることにより、類似の構造を有するニッケル-ルテニウム三核錯体[Ni((NH_2-(CH_2)_x-NHCO-bpy)_2Ru(bpy)_2)_2](PF_6)_6(X=2,3および6)の合成に成功した。これらの錯体をアスコルビン酸水溶液(pH=4)に溶かし、炭酸ガス雰囲気下で可視光照射を行い、気相に発生する一酸化炭素を定量することににより反応を追跡した。その結果、三核錯体の光化学的二酸化炭素還元触媒活性はアルキル鎖が短いほど高いことがわかった。また、従来より知られている[Ru(bpy)_3]^<3+>と[Ni(cyclam)]^<2+>の分離系をはるかに上回る反応効率が確認され、分子デバイスとしての融合系を開発することの意義が示された。(ii)昨年度は未配位ピリジンを有する錯体配位子[Ru(bpy)_2(5-(isonicotinamido)-phen)](PF_6)_2の合成にも成功したが、本年度はこの錯体配位子と塩化ロジウム(III)を錯形成させ、元素分析を行ったところ組成式が[{Ru(bpy)_2(5-(isonicotinamido)-phen)}_4Rh^<III>Cl_2](PF_6)_9であることが確認された。プロトンNMR測定においても純粋なものが得られたことが確認された。今後はこの錯体の光化学的水還元触媒機能について検討する予定である。この他、錯体配位子[Ru(bpy)_2(5-(isonicotinamido)-phen)](PF_6)_2の各種遷移金属イオンとの錯形成挙動を吸収スペクトルにより追跡し、反応速度解析を行った。
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