研究概要 |
1.α'-(BEDT-TTF)_2IB_2の光学的物性(ET=BEDT-TTF) α'-ET_2IBr_2は、半導体的特性を示し、200K付近の構造相転移と60Kの磁気的相転移が起こる。 (1) 赤外偏光反射スペクトル 1500cm^<-1>より低波数の領域の反射率は、室温から徐々に低下し、180Kで急激に減少し、再び150Kで高くなる。構造相転移の温度域での変化が観測された。 (2) ラマンスペクトル 300Kで1480cm^<-1>付近に幅広いバンドが見られ、200Kでa:1454cm^<-1>とb:1488cm^<-1>の2つに分裂し、5Kまで分かれている。低温域では1550cm^<-1>に弱いバンドが現れ、100Kで1545cm^<-1>と1555cm^<-1>になる。これらのバンドはETの価数に敏感なC=C結合の全対称振動によると考えられ、バンドaから価数は+0.63と見積もられた。これは、化学量論的形式電荷+0.5とは異なり、低温では電荷分離による価数の異なるETが存在する可能性を示唆する。 2.(DI-DCNQI)_2M(M=Ag,Li,Cu,Zn)の赤外吸収スペクトル Ag塩とLi塩では、1000,1500,2150cm^<-1>付近のスペクトルに冷却に伴う分裂が観測されたが、Cu塩とZn塩には見られなかった。Ag塩とLi塩のスペクトルの分裂はcharge orderingによるDI-DCNQI分子の電荷分離によると考えられる。 3. α-(Et_2Me_2N)[Ni(dmit)_2]_2の高圧下の輸送現象常圧強磁場で新たなShubnikov de Haas振動(振動数360T(ε軌道))が見出された。また、圧力によりSdHの振動数が変化することが明らかとなった。
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