研究課題/領域番号 |
09740557
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 京都大学, 化学研究所, 助手 (90253335)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ヒ素 / 有機ヒ素 / 自然水 / 高感度分析 / 分画 / 季節変化 / モデリング |
研究概要 |
外洋におけるヒ素を含めた微量成分の定量法として、高分解能誘導結合プラズマ質量分析装置(HR-ICP-MS)を用いた手法を確立した。この方法では、妨害元素である海水中の主要塩類を除くために、8-ヒドロキシキノリンを修飾した担体に海水試料を導入して目的元素を捕集濃縮する。溶離液には海水中の主要塩類は含まれないので、HR-ICP-MSを用いて微量成分をより高感度に定量することが可能となった。この方法により、海水中のppqレベルの微量成分を定量できた。 前年度に引き続き、琵琶湖、浦ノ内湾において"hiddenarsenicspecies"、3価及び5価の無機ヒ素、メチルヒ素分布の時・空間変動を観測した。本年度は、水域の生物活動が特に活発で生物相が急激に変遷する夏季(6〜8月)に集中観測を実施した。観測では、水圏の生物相を決定する主な環境要因である溶存酸素、硫化水素、栄養塩類濃度温度、塩分環境、動・植物プランクトン群集の連続観測も合わせて行った。浦ノ内湾における観測データを6ボックスモデルを作成して解析した結果、浦ノ内湾において、メチルヒ素は植物プランクトンの異常発生によって短期間(数日)で急激に増加するものではなく、長期間(1-2カ月)にわたる蓄積の結果水層カラム中の濃度が高くなっていくことが分かった。また、メチルヒ素の生成速度に関して地域的・季節的な規則性が観測されたが、クロロフィル量や動・植物プランクトンの生物相との相関を見い出すことができなかった。一方、前年度の成果より、浦ノ内湾においては水温が高くなる夏季に有機物の分解生成物と考えられる"hiddenarsenicspecies"が著しく増加することが分かっている。以上の結果より、水圏におけるメチルヒ素の成因には、バクテリアなどの微生物の影響が深く関与していることが推察された。
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