研究概要 |
古草本類に属するスイレン科植物の花芽からMADS-boxをもった花形成遺伝子を単離し、3′-race法・5′-race法を用いて塩基配列の決定を行った。またin-situハイブリダイゼーション法を用いたそれらの遺伝子の発現解析を試みた。 平成9年度は、スイレン科の4種について3′race法を用いたMADS-box遺伝子のスクリーニングを行った。その結果オオニバス13種、コウホネ14種、ハゴロモモ8種、ヒツジグサ11種のMADS-boxを持ったcDNAクローンを単離した。これらはMADS遺伝子族のAGグループ、AP3グループ、PIグループ、AGL2グループ、AGL6グループ、AGL14グループなどの相同遺伝子であった。また5′race法によってヒツジグサで1個、コウホネとハゴロモモで2個について遺伝子全長の配列を得ることができた。 平成10年度は、9年度で得られなかった,AP1やAP3/PIなどAクラス・Bクラスの遺伝子のスクリーニングをジュンサイとハゴロモモについて行った。その結果両種についてAクラスのAP1グループ、BクラスのAP3グループ・PIグループの相同遺伝子の断片を得た。ハゴロモモのAP3・PI相同遺伝子については5′race法も行い遺伝子全長の塩基配列を得ることが出来た。またそれらについてはin-situハイブリダイゼーションによる遺伝子の発現解析も行った。その結果ハゴロモモのAP3・PI相同遺伝子はシロイヌナズナのAP3・PIに見られる花弁と雄蕊での発現だけでなく心皮でも弱い発現が観察された。 今までの研究で、スイレン科植物について大部分の花形成遺伝子を単離する事ができ、またin-situハイブリダイゼーションによる遺伝子発現の解析の目処もたった。今後はその結果を踏まえて1-2年以内にスイレン科各種のA,B,C全クラスの花形成遺伝子の塩基配列の決定と遺伝子発現の解析を終える予定である。
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