研究課題/領域番号 |
09740639
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
荒谷 邦雄 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (10263138)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | クワガタムシ科 / アジア / 分子系統 / 分類 / ミトコンドリアDNA / 16SリボソームRNA / RAPD法 / COI遺伝子 / ミトコンドリア / DNA / 系統分類 / 進化 / コガネムシ上科 / 生物地理 |
研究概要 |
本研究では、著しい性的二型の存在などのために、形態形質に基づく系統解析を行うには大きな困難が伴うクワガタムシ科に関して、DNAに基づく系統解析を試みた。まず、最も分類学的な取り扱いが混乱しているクワガタ属内の系統関係について、日本および台湾産の種を材料にRAPD法を用いて解析したところ、アカアシクワガタ亜属の単系統性が支持された一方で、コクワガタ亜属が側系統である可能性が示唆された。次に、クワガタ属を含むDorcini族に関して、ミトコンドリアDNAのCOI遺伝子の439塩基対の配列に基づく系統解析を行なった。その結果、本族の中ではまずオニクワガタ属が、続いてノコギリクワガタ属が分岐したことが示唆され、クワガタ属の単系統性も支持された。また、クワガタ属内の系統関係は、概ね先のRAPD法の結果と一致した。しかし、COI遺伝子は、進化速度が速く、第3コドンのトランジションの変異が飽和している可能性が高いなどの問題があることがわかった。これらの結果を踏まえ、最後に、進化速度が比較的遅いとされるミトコンドリアl6SリボソームRNAの約480塩基対の配列を用いて、上述の属にツヤハダクワガタ属、ルリクワガタ属、マグソクワガタ属などを加え、クワガタムシ科全体の系統解析を行なった。その結果、クワガタムシ科の中ではツヤハダクワガタ属が最も早く分岐し、ついでマグソクワガタ属やルリクワガタ属が分岐したことが示唆された。一方、性的二型の著しいLucanini族とDorcini族が単系統をなすことも判明した。Dorcini族内の系統関係は概ねRAPD法やCOI遺伝子に基づく解析の結果と一致したが、オニクワガタ属がDorcini族からはずれ、Lucanini族のミヤマクワガタ属と単系統群を形成することが極めて高い確率で示唆された。これらの解析結果は、クワガタムシ科の系統分類学のみならず、本科における性的二型や配偶・繁殖行動、食性進化などを論ずる上でも極めて興味深い話題を提供するものである。
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