研究課題/領域番号 |
09750037
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
一木 隆範 東洋大学, 工学部, 講師 (20277362)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ULSI / 低誘電率膜 / プラズマCVD / フロロカーボン / X線光電子分光 / 帯電補正法 / BCN膜 / 滞在時間 / 付着強度 / 自己停止反応 |
研究概要 |
本年度はまず、昨年度に研究したプラズマCVD法によるC-F系薄膜の評価法に関する成果を得た。X線光電子分光による膜表面の化学的結合状態の解析は、層間絶縁膜の研究で現在盛んに用いられる有力な手法である。しかし、絶縁膜の測定ではdifferential chargingがを生じ、スペクトルの幅広がりや変形といった問題が起こるため、極薄膜でなければ分析が困難であるとされている。今回、プラズマCVDにより導体基板上に堆積したフロロカーボン膜の単色X線源を用いたXPS計測における帯電の効果を実験的に検討し、フロロカーボン重合膜中のFlsピークを内部標準(Internal Standard)とした帯電補正法を考案した。具体的には帯電の無いFlsピークを0.5eVずつシフトさせ、帯電した試料のFlsスペクトルにフィッティングすることで帯電分布の寄与を割り出し、これをClsスペクトルにコンボリュートして波形分離を行った。本法を用いて様々な帯電状態の試料に対し定量的解析を行った結果、膜の化学的構造を誤差5%程度で評価でき、この近似解析法が妥当であることが示された。その結果、Flsスペクトルを内部標準とした帯電補正により、化学的結合状態の有用な情報が得られるClsスペクトルの解析が厚膜においても可能となった。次に、昨年度、問題となった耐熱性、付着性の改善を図るため、C-F膜の一部を耐熱性の窒化ホウ素(BN)で置換することを検討した。まず低圧誘導結合プラズマ(ICP)CVD装置に於いて原料ガスにトリメチルボロン(TMB)、N2を用いてBN成膜条件を調べ、次にC_4F_8を添加してBCN:F膜の成膜を試みた。高周波入力を変化させてTMB10ccmとN_210ccmにより堆積した膜では1360cm^<-1>付近にB-N結合の伸縮モードによるピークが見られたが、2300〜2400cm^<-1>付近にCHxによる吸収がわずかに見られることがら、少量の不純物を含むBN膜が得られたこどが分かった。成膜速度は高周波入力とともに増大したが、TMBが過剰に解離すると基板上での成膜の収率が減じることも判明した。更にC_4F_8を添加して高周波入力と基板温度を変化させて成膜したところ、基板温度100℃では膜はほぼCF膜であり、200-300℃においてBN結合を含んだ膜が得られた。
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