研究概要 |
本研究は,多光束干渉によって光波長以下の格子定数をもった3次元結晶格子構造を有する光強度分布を形成し,その光トラップ力を用いて誘電体微小球の3次元結晶性配列を形成する方法,すなわち多光束干渉現象とレーザートラッピング技術を融合した簡便かつ柔軟な3次元系フォトニック結晶の創成方法を開発することを目的とする.これまでの研究により得られた成果は以下の通りである. 1. 多光束干渉現象の理論解析から,3次元結晶構造を有する光強度分布を形成するには,少なくとも4光束照明が必要であることを明らかにした. 2. すでに提案されている2次元六方格子構造を生成する3光束レーザー照明法に,いずれの3光束とも同じ位置関係にある第4番目のレーザー光束を導入することによって,三方晶系(三方晶)および立方晶系(単純格子,体心立方格子,面心立方格子)の3次元光強度分布を形成できることを明らかにした. 3. これらの結晶格子構造と4光束レーザー光の角度関係を照射レーザー光の波数空間において系統的に説明する方法を,結晶学における逆格子の概念を導入して確立した. 4. 以上のレーザー照明条件を簡単に実現する方法として,既存のコーナーキューブプリズムの利用と屈折率マッチングオイルの組み合わせによる制御を提案した. なお,現在は引き続き,理論解析の結果得られた多光束照明を実現するプリズム素子の設計と試作,ホログラフィック回折素子の設計と試作,ならびにそれらの素子を既存の蛍光顕微鏡に組み込んだ微粒子3次元結晶性配列を実現する装置の開発に取り組んでいる.また,その装置を用いて生成した微粒子の3次元結晶の静的ならびに動的光散乱特性などの光学特性の測定と解析を計画中である.
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