研究概要 |
炭素繊維複合材料のプリプレグシートの間にZnS半導体粉末からなる無機EL粉末を接着剤で硬化させた層を挟み,成形することで,層間にEL発光層が形成され,炭素繊維を電極として層間に50Hz200V程度の交流電圧をかけることで発光させることが可能となる.CFRPにマトリックス割れなどの損傷が生じるとそこからの漏洩光で損傷を発見することができる.本研究ではこのEL素子を利用した自己発光式損傷検出知的複合材料の開発を目的として,前年度は基礎研究を実施した.EL発光のためには電極が完全に絶縁されている必要がある.これに対してCFRPプリプレグは成形時に上下層が部分的に接触するため,通常の成形方法では発光しないことが明らかになった.そこで,EL粉末を含むエポキシ樹脂層を作成し,CFRP成形時に層間に積層する方法や,ガラス繊維層を挿入する方法,ガラス繊維を含有したシート状接着剤を利用する方法が検討され,いずれの方法においても発光することが側面から観察された. 最終的には厚さ数十ミクロンの両面接着ポリイミドフィルムを用いることでCFRP層間の絶縁性を保持することが可能となった.これを用いて試験片を作成し,曲げおよび切欠き付試験片において引張試験を実施し,試験実施後にき裂から漏洩光が認められることが確認された.
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