研究概要 |
多結晶金属の自由表面あれに関して,塑性変形の初期における表面あれ発生形状,および変形の進行に伴うその形状変化を,負荷状態下で高精度に三次元測定することを目的として,表面形状測定顕微鏡上で単軸引張が可能な小型試験装置を設計試作した.また同時に,得られた三次元形状を表面形状測定顕微鏡からリアルタイムに離散データ化してコンピュータへ送り,形状解析処理するためのシステムを構築した.このシステムを用いて,単軸引張に伴う多結晶純アルミニウムの初期表面形状の測定を行っているところである.現在,結晶粒単位の不均質性と初期表面あれ形状の関係について調べているが,試験片移動および測定精度に起因する誤差の影響等に関して解決すべき課題が残されている. 一方,三次元表面あれ形状の定量的評価に対するフラクタル解析手法の適用に関して,結晶粒単位の変形と,それに伴う多結晶体の不均質性に起因した表面あれ挙動を評価する目的に最適なフラクタルアルゴリズムの検討を行った.その結果として,中点変位法の一種である逐次ランダム加算法に結晶粒径の不均一性を組み込んだ新しいアルゴリズムを選択した.任意のフラクタル次元を有する表面あれに関して,このアルゴリズムによるシミュレーションモデルと単軸変形下における純鉄の表面あれ形状とを比較検討したところ,形状の分布に関しては差があるものの,表面粗さパラメータおよびスペクトル分布には類似性が認められ,このアルゴリズムの妥当性が確認された.
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