研究概要 |
1. 被削材にS45C,Φ16mmエンドミルを用いて,主軸回転速度40000min^<-1>までの高速エンドミル加工に,オイルミスト潤滑を適用し,その効果について検討した.オイルミストは1本のノズルを用いて外部から供給する方法をとり,オイルは植物製油を用いた.ミスト供給装置に供給するオイル量を2.0cc/min(実際の吐出量は30mg/min程度)としたところ,15000min^<-1>まではオイルミストの供給により工具摩耗が小さくなるが,20000min^<-1>(切削速度1000m/min)以上においは工具にチッピング,もしくは異常摩耗が発生し,部分的に急速に摩耗が進行する部分が見られた. 2. オイルミストの噴射位置により,冷却・潤滑作用の差異が生じることが予想され,その差異は工具摩耗にも影響するはずである.そこで,3通りのノズル位置を設定し,主軸回転速度を15000min^<-1>として加工を行い,最大逃げ面摩耗幅(以下VBmax)の検討を行った.その結果,down cutの際の工具離脱点付近にオイルミストを供給した場合が最も工具摩耗が小さくなった.また,このとき工具への切りくずの溶着が最も少なかった. 3. 装置に供給するオイル量の影響を検討した.オイルミストが微量でもその供給により工具寿命延長に効果があることがわかった.オイル量の増加に伴い摩耗量は減少する傾向が見られるが,設定オイル量が0.5cc/min(推定吐出量0.01cc/min)以上では,摩耗抑制の効果は頭打ちとなる. 4. 有限要素法により,解析適に断続切削時の熱的状況について検討した.断続切削では,連続切削ほど工具刃先温度が上昇しないが,300K以上の厳しい温度変動にさらされること,半径切り込みが小さいほど,温度上昇は小さいことが明らかとなった.
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