研究概要 |
加熱・冷却曲げ加工は非接触成形が可能で,とくに平板の曲げのような単純な2次元曲げに非常に適しており,その自動化が実現できれば血々な形状がフレキシブルに成形できる.また,レーザーを熱源とする手法は近年注目されていマイクロマシンにおける微細部品の製造を実現するため有用な加工技術となる.本研究では,金属細線などのレーザー曲げに関する基礎的検討および顕微鏡下でのマイクロ成形に関する基礎研究を目的とした. まず最初に,金属極細線のレーザー加熱曲げプロセスを熱弾塑性有限要素解析を用いて検討し,その加工原理を明確にするとともに装置設計の基礎資料を得た.加熱曲げでは素材上面と下面の十分な温度差が必要であるが,これは大きなレーザ出力と小さなスポット幅により達成される.平坦な強度分布をもつレーザスポットにより円形断面をもつ金属極細線を加熱すると,温度分布が放射状になるために適切な曲げ成形を実現するにはレーザスポットの形状や強度分布などに関する工夫が必要である.レーザ加熱曲げ過程の弾塑性解析の結果で確認できた残留曲げ角は小さく照射の繰り返しなどの工夫が必要である.加熱曲げはにおいては,レーザー照射部位の圧縮塑性ひずみおよび素材裏面の伸び塑性ひずみが生じているが,今回の解析結果においては曲げ変形に対しては前者の貢献度が大きい. さらに,手軽に利用可能な数W程度の半導体レーザを成形エネルギー源とできる形状記憶合金線を素材とするプロセスを提案した.このシステムでは予軸伸びひずみを与えた素材に対してレーザ加熱により素材横断面に軸ひずみ分布を生成して曲げを行うものであり,前述のレーザ加熱曲げに比べて小エネルギーにより成形を実現できる.以上の検討に基づき,後者の成形を実現する成形装置を設計した.本装置は,光学顕微鏡下でCCDカメラにより数10μm〜数100μm程度の素材を観察しながら位置決めが実現できる.
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