研究概要 |
まず,製品の構造の階層性に注目することによって,実体設計の設計解を「実体化ツリー」と呼ぶ木構造によってモデル化した.実体化ツリーにおいて,根ノードは製品を,個々の葉ノードは原材料あるいは購入部品を,その他の個々のノードは原材料から加工された部品あるいはサブ組立された中間部品を,個々のアークは加工作業あるいは組立作業を,それぞれ表している.また,実体設計の部分的な設計解を,完全な実体化ツリーではなく,その部分木としてモデル化できるようにした. 次に,個々の葉ノードに対して原材料費を評価する方法,個々のアークに対して加工費や組立費を評価する方法,および実体化ツリーの構造にしたがって製品全体の品質を順次下位の部品の品質に展開していく方法,をそれぞれ構築した.そして,それによって得られた品質および原価の評価を,実体化ツリーの階層構造とリンクさせた階層的なマトリクスに基づいて,多角的かつ視覚的に表現する方法を考案した. 最後に,設計者が実体設計を効率的かつ効果的に進めることのできる方法論を展開した.この方法論は,(a)設計者が実体設計の部分的あるいは全体的な設計解を次々と創造することによって実体設計の解空間を拡張していく作業,および(b)この実体設計の解空間の中をできるだけ望ましい設計解を求めて探索していく作業,から構成される.作業(a)を支援するために,上で考案した品質および原価の多角的かつ視覚的な表現法を用いた.また,作業(b)を効率的かつ効果的に行うためのアルゴリズムを開発した.
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