研究概要 |
1. まず,広く利用されているトランジスタスイッチング式の放電回路を用いて,単発放電痕形状の解析,加工速度,電極消耗率等,基礎的な加工特性について実験的検討を行った.その結果,以下の結論を得た. (1) 単結晶シリコンの放電加工は,シリコンの比抵抗10^<-2>Ω・cm以下で安定して可能である. (2) シリコンの加工速度は鉄鋼材よりもかなり大きい.これはシリコンが高抵抗材料であるために工作物内部でのジュール発熱が材料除去に大きく関与すること,および沸点が低いことによると考えられる. (3) 灯油系加工液中でのシリコンの加工では,工作物および加工液の熱分解によって生じるカーボンが電極端面に多く付着するために電極消耗率はかなり小さくなる.また,パルス幅の長い条件では電極無消耗加工も可能となる. 2. 次に1に基づき,市販のRC回路を用いた細穴放電加工機によって単結晶シリコンに対し貫通穴加工を試みた.その結果,以下の結論を得た. (1) 同一放電エネルギーの加工条件下では鉄鋼材料に比べて単結晶シリコンの加工速度は大きく,電極消耗は小さい. (2) 細穴放電加工によって,200以上の高アスペクト比の貫通穴加工が短時間で可能である. 3. さらに,三角形断面を有する微細な電極を用い,その単純形状を組み合わせて微細複雑形状の創成について試み,以下の結論を得た. (1) 押出し成形加工によって単純断面形状の電極を効率的に作成でき,それを用いることによって微細複雑形状の貫通穴を高効率に加工できる. (2) 電極を加工機上で修正することによって精密な複雑形状の加工か可能である.
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