研究概要 |
本年度は,作業面トポグラフィをインプロセス測定するための課題点とその対策について検討し,実研削条件と同等の条件下で作業面トポグラフィを測定することを試みた. 作業面トポグラフィをインプロセス測定するためには,次の二つの課題を解決する必要がある.第一は高速で回転する砥石に対して十分なサンプリング点数でプロファイルを測定しなければならないことである.そして第二は,研削液供給中に継続して測定でき,プロファイル測定結果が研削液による悪影響を受けないことである. 第一の課題を解決するためには,レーザ変位計の応答速度を高速化する必要がある.そこでレーザ変位計を改造し,800kHzでの高速サンプリングを可能にした.これにより,60番の砥石でサンプリング間隔42μm(砥粒径の1/6)としても最高で周速33.6m/sでの測定が可能となった. 第二の課題である研削液の影響に対して,高圧エア噴射によるレーザ変位計の保護および作業面上の研削液除去を試みた.まず,変位計ケース上端より高圧エアを供給し小径に絞り込んだレーザ光照射口から噴出させることにより,研削液が変位計に付着することを防止した.さらに,研削液を除去するため高圧エアを作業面に噴射し,飛散した研削液を吸引するようにした. これらの検討の結果,WA60J7V砥石を砥石周速29.4m/sで回転させ,研削液を供給しながら作業面プロファイルを測定することが可能になった.測定されたプロファイルは研削液の供給の有無に関わらずピーク位置が良く一致し,ピークの高さおよび形状も概ね一致した.さらに,作業面プロファイルの相対度数分布を研削液の供給の有無により比較したところ,これも良く一致していることを確認できた. 以上の結果より,インプロセス測定した作業面トポグラフィに基づいて作業面状態を評価できる可能性を見い出すことができた.
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