研究概要 |
本研究は,軸状の自由曲面を高速高精度に加工するために,新たな工作機械の開発を目的にして行ったものである.この工作機械の特徴は,工作物を挟み込むように配置した2つの外丸フライスを同時・独立に制御することにより,加工時間を短縮化するとともに,切削力による工作物の変形を抑制し,加工精度を上げることにある. このような工作機械を実現するために,今年度は,まず,軸状の自由曲面を加工するために,既に開発されているCNC工作機械の改造を行った.その主な内容は,以下のようなものである. (1)2つの外丸フライスを同時使用するために,2台の外丸フライスの工具駆動装置を設計製作した. (2)(1)で設計製作した工具駆動装置を1本のレール上に2つのモータが設置可能なリニアサーボモータにそれぞれ取り付け,これを研究代表者が既に開発したCNC工作機械のX軸テーブルと交換することにより,同時4軸制御の新たな工作機械を実現した. (3)これにあわせて,この工作機械を制御するための制御プログラムを新たに作成した. 今年度の研究で開発したCNC工作機械の基本的な性能を,加工実験によって調べた.この実験では,円筒形状の工作物を加工した.このとき,工作物を挟み込むように配置した2つの切削工具を用いた場合には,従来の工作機械と同様に1つの切削工具を用いた場合と比較して,加工誤差の低減に非常に効果があった.さらに,2つの切削工具を用いることにより,切削工具が1つの場合と比較して,送り量を2倍にしても,同程度の表面粗さを得ることが可能であり,加工の高速化にも非常に有効であることがわかった.今後は,自由曲面の加工実験を行っていく予定である.
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