研究概要 |
平成9年度は,外周刃切断方式の高能率化・高精度化を目的として,切断加工中の工作物側に微小鉛直方向振動を作用させることによって,その加工特性について一連の検討を行った.具体的には,振動外周刃切断方式の加工メカニズムとして,切断加工中の外周刃ブレ-ドと工作物相互間の挙動を理論的に解明し,それが切断抵抗に及ぼす効果を実験結果を交えて考察した.また,連続切断加工の切断抵抗の挙動や研削比の観点からその可能性を追求し,さらには,精度面においてもチッピングや作製されたウエハの性状より検討した.以下に,今年度において得られた研究成果を要約して述べる. 1.外周刃による切断加工において伴う切断抵抗の中には,外周刃ブレ-ドと工作物相互間の接触により生じる「接触抵抗」が含まれ,その値は接触弧の面積に大きく依存することが分かった. 2.慣用切断方式に比較して振動切断方式では切断抵抗の減少がもたらされるが,その主たる要因は振動による微小断続切断現象に起因した接触抵抗の低減効果であることを実験・理論の両面より明らかにした. 3.振動切断方式においては長時間に渡る連続切断加工を行っても切断抵抗は増加することなく,安定した切断加工が行える.さらには,切断加工中におけるブレ-ドの摩耗量を意味する研削比も向上させ得る効果が得られた. 4.慣用切断方式に比較して振動切断方式では切断面のチッピングの軽減化がもたらされるのみならず,作製されるウエハの表面うねりも向上する.
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