研究概要 |
本研究は,パラレル機構のもつ優れた基本特性を活かしつつさらに高精度化を図るために,機構自由度よりもアクチュエータおよび連結連鎖の数が大きい冗長駆動パラレル機構を取り上げ,高精度化の観点から機構学的および力学的特性を考慮した機構総合と制御を可能にすることを目的として行われた.本年度の研究においては,まず内界センサのみによって高精度な機構キャリブレーションを行うための具体的手法を提案し,センサの分解能を考慮したキャリブレーションに用いる実験点の選定指標を提案した.また,機構キャリブレーションにおける内力効果を調べるために,2入力平面5節機構の受動対偶部に内力を与えて出力変位を測定してキャリブレーションを実際に行った結果,内力を加えた場合の方が加えない場合に比べてキャリブレーション後の出力変位精度が向上することが確認できた.次に,運動の高精度化のために,出力変位精度の空間的等方性の評価指標を定めるとともに,冗長入力変位の情報を利用して入力変位センサの分解能を仮想的に向上させる順運動学解析法を開発した.具体的に3入力の単ループ平面5節機構を取り上げて本順運動学解析手法を用いた場合と冗長入力情報を用いない場合の出力変位精度の空間的等方性の比較を行った.その結果,本手法によれば冗長入力を用いない場合に比べて約10倍の変位精度が達成されることが確認できた.さらに,負荷が作用する際の出力精度に大きな影響を与える出力剛性の制御限界等について検討を加えた.具体的に7入力6自由度空間冗長パラレル機構を対象として理論的および実験的検討を加えた結果,出力剛性は負荷の大きさにより非線形に変化すること,および内力制御により変化させることのできる剛性の限界は作業領域内の出力節ポーズにより大きく変化することが確認された.
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