研究概要 |
(1) 油の中の気泡を光干渉法で測定するためには,まず,油の中に存在する粒子等による散乱の影響を調べておく必要がある.そこで,アクリルで作った矩形断面の管路に油を流し,横方向からレーザをシート状にして入れ,上面からの撮影を行った.その結果,油中に無数の散乱粒子が存在することが明らかとなった.また油を透過した光には無数のスペックル像が現れ,油の移動に伴い複雑な動きをすることがわかった.このため,油中気泡をホログラフィで撮影する場合には,添加剤による散乱,油分子によるスペックルの影響が避けられず,結果として像の劣化を招くことは避けられないことがわかった. (2) 気泡に光を照射した時に生じる回折光は気泡径に反比例し,気泡径が小さいほど縞間隔は大きくなる.このことを利用して,容器の上面に気泡を静止させ,下部からレーザ光を入射し,発生する回折縞を一次元CCDイメージセンサで測定した.その結果,気泡径と縞間隔は反比例の関係にあることが確かめられた.この場合でも油分子によるスペックルが多く発生するため,多点測定を行い補正する必要がある. (3) キャビテーション気泡の挙動を調べるためにアクリル製の矩形管路を製作し,その内部に針を最り付け,先端で生じるキャビテーション気泡を,写真,ビデオで撮影した.気泡が発生する瞬間をとらえるために,流路にレーザ光を通し,光量変化をトリガとして閃光時間1μsecのストロボを閃光させて撮影した.その結果,針先で発生した瞬間の気泡を捉えることに成功した.この時の気泡径は約50μmであり,しばらくの間針先で停留して成長し,やがて成長した後一部がちぎれて下流に流されていく現象が観察された.この結果より,キャビテーション気泡をホログラフィで撮影するためには,より強いレーザを光源として用い,微小気泡を撮影できるよう十分に光を絞る必要があることがわかった.
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