研究概要 |
平成9年度に引き続き,固液二相流の流動特性に関しての実験を行った.実験では,周囲流体に水,添加粒子に平均粒径約389ミクロンの球形ガラス粒子を使用した.粒子は実験装置上部の粒子添加装置にて自然落下により水と混合され,その後十分な長さを持つ内径8mmのパイプよりテストセクションに噴出される.テストセクションでの噴出速度は1.74m/sとし,周囲の水は静止とした.平成10年度は添加時の粒子体積分率を0.305%と,平成9年度の粒子体積分率0.085%に比較して大きく設定し,粒子添加による流体の変化を実験的に調べた.計測には粒子速度,粒径が同時計測ができる位相ドップラ流速計(PDA)を用いた.計測にPDAを使用することにより,一度の測定で粒子と流体の速度計測が可能となり,後処理により粒子と流体の弁別を行いそれぞれの平均流速,乱れ強さを求めることができた.その結果,粒子は流体よりも大きな速度を持ち,二相時の流体の平均速度も大きくなった.このとき,下流での粒子と流体の相対速度は,粒子自由落下速度(終端速度)に近い値となる.また,変動速度も流体よりも粒子が大きい結果となった.粒子を添加した際に流体の乱れ強さは単相時と比較して,大きくなった.この結果は昨年度までの粒子添加量が少ない場合には観察できなかった.そこで,質量流束を実験から求め,流体の乱れの変化をまとめると,質量流束が約40kg/m^2sの条件で流体の乱れが単相時よりも変化するという相関が得られた.
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