研究概要 |
高粘性流体に非ニュートン流体である高分子流体を用いて,Hele-Shawセル内の粘性指状体の成長現象について研究を行った.セルに注入する低粘性流体としては,空気を使用した.高分子成形加工のひとつであるガスアシストインジェクション成形において,非ニュートン粘性指状体と同様の現象がみられる.本研究では,ガスアシストインジェクション成形への応用を目的として非ニュートン成長指状体の成長メカニズムの解析を行った. ここでは,正方形Hele-Shawセルと長方形Hele-Shawセルの2種類のセルを使用した前者を用いた実験では,放射状に成長する指状体の全体の構造について調べ,後者を用いた実験では,1本の指状体の成長過程について調べた.これまでの実験から,非ニュートン流体の粘性指状体がニュートン流体のものとは大きく異なる成長現象を示し,その原因が流体の非ニュートン性によるものであることが分かっているが,本研究では,特に高分子流体の伸長特性の影響に着目して実験を行った.本実験では,伸長粘度のstretch-thickening性を有するポリアクリルアミド水溶液と,stretch-thickening性をもたないカルボキシメチルセルロース水溶液を混合し,せん断特性(せん断粘度と第1法線応力差)は比較的類似しているが,伸長特性の異なる試料流体を作成して実験に使用した.実験の結果,伸長粘度のstretch-thickening性が強いほど,指状体の界面が安定して成長することが分かった.これは,界面付近の伸長変形により伸長粘度が増大するために,見かけの表面張力が大きくなるためであると予想される.
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