研究概要 |
床面に堆積した粉塵層上を衝撃波が伝播するとき,粉塵層と床面との境界において測定された圧力は入射衝撃波背後の圧力の数倍の値に達する場合がある.本研究では,この異常圧の発生機構を明らかにすることを最終的な目的として,以下のような衝撃波管実験を行った. まず,衝撃波管(内面寸法100mm×30mm)を用いて衝撃波(伝播マッハ数1.10,1.20,1.30,1.40)が粉塵層上を伝播する際の粉塵層下での圧力測定実験を行った.粉塵層は球形粒子(イオン交換樹脂,粒径0.37〜0.90mm)を衝撃波管下壁に堆積させて形成されたものである.また,粉塵層と圧カセンサとの間に金網を張ることによって気体圧力の測定を行った. 次に,粉塵層内を伝播する応力波の挙動を明らかにするため,縦型衝撃波管(内面寸法20mm×20mm)を用いて,粉塵層に衝撃波(伝播マッハ数1.30)が垂直に入射する場合の圧力測定実験を行った.上述の実験度と同様の球形粒子(粒径0.66mm)を用い,粒子層の厚さを5〜70mmまで変化させて実験を行った. これらの実験から得られた重要な知見をまとめると以下のようになる. 1. 粉塵層に衝撃波が入射すると,粉塵層内において局所的に高い応力が発生し,その領域が波のように層内を伝播する. 2. 粉塵層下で発生する異常高圧は,気体の圧力波によるものではなく,上述の応力波が床面に達することによって発生する. 3. 粉塵層下で発生する異常圧の大きさは粉塵層厚さに依存し,最大圧力値を与える粉塵層厚さが存在する. 4. 粉塵層内で発生する応力波の伝播速度は気体の圧力波のそれよりも小さい.
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