研究概要 |
研究計画書に記載の通り,限界近傍の火炎に対して外部から輻射エネルギーを与え,その挙動を調べた.当量比0.55,火炎伸長率10程度のプロパン・空気対向流予混合火炎に対して集光機構を持たない加熱用ランプで輻射エネルギーを与え,火炎応答を観察したところ,輻射の断続によって燃焼速度の遷移がみられたほか,輻射加熱をステップ状に停止した後に,非定常的な火炎の応答を観察できた. 空気を予熱した場合の対向流拡散火炎について,素反応機構を考慮した数値計算によって火炎帯全域からの輻射量を見積もったところ,予熱空気温度が高温になるほど輻射量が増すことがわかった.これは,高温の空気に向かって化学反応によって生じた輻射化学種が拡散したためである.高温空気使用下で燃料の希薄化が一層進んだ場合には,化学反応による有意な温度ピークが見られず,生成熱が大きく減少したのちも化学反応が維持され,消炎限界が消滅する領域が現れる.この条件下では,輻射化学種の絶対量の減少が著しいため輻射量もさほど大きくないのが特徴である.
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