研究概要 |
プロパン-空気の濃混合気と希薄混合気が隣り合う容器内での燃焼現象の観察とその数値解析を行った.現象は指圧解析,シュリーレン撮影,LDVを用いた流速測定により行った.燃焼モデルにはフラクタルモデル,1段総括不可逆反応モデル,2段総括可逆反応モデル及び4段総括不可逆反応モデルの4つを用いた.まず,2つの異なる濃度の混合気が接する場合は,層状化を進めるほど燃焼速度は増加し,シュリーレン撮影によると,単独では着火しない極希薄な混合気側にも密度勾配が見られた.実験と同条件で計算を行ったところ,フラクタルモデルと1段総括不可逆反応モデル及び4段総括不可逆反応モデルでは,層状化を進めるほど燃焼速度が増加する様子は予測できなかったが,2段総括可逆反応モデルは定性的に予測できることが分かった.2段反応モデルでは比較的低温で反応するCOの反応を含むため,定性的な予測精度が向上したと考えられる.4段反応モデルはより現象を正確に再現できると考えたが,各反応の反応係数が正確に与えられず精度が悪化したと考えられる.計算結果によると,2つの混合気間に複雑な流れ場が生じており,これにより温度分布が変化し,極希薄側予混合気も燃焼していることが分かった. 新たに3つの混合気を接触させることの出来る実験装置を製作し,2つの異なる濃度の混合気を体積比を変えて充填して実験を行った.この結果,リッチ側で点火すると点火位置に関わらず圧力は一度ピークを取った後,再びピークを取る燃焼形態を示した.この原因については可視化や数値計算によって今後明らかにする必要がある.
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