| 研究概要 |
乱流中での予混合火炎の局所消炎機構を解明し,これらを精度良く予測可能な乱流燃焼モデルを開発することは,高効率・低NO_X実用燃焼器の開発において非常に重要である.本研究では,詳細化学反応機構と物性値・輸送係数の温度依存性を考慮に入れた乱流予混合火炎の直接数値計算を行い,乱流中での予混合火炎の局所消炎機構等を明らかにすることを目的としている.本研究では,一様等方性乱流中を伝播する水素・空気乱流予混合火炎及びメタン・空気乱流予混合火炎の二次元及び三次元直接数値計算を行った.水素・空気乱流予混合火炎の三次元直接数値計算結果から,乱流のcoherent微細渦は火炎面の近傍で火炎面に対して垂直な構造を持つ傾向にあり,coherent微細渦が存在する領域において局所熱発生率が増大することを示した.また,火炎近傍では密度勾配と圧力勾配に起因するバロクリニック・トルクにより乱流のcoherent微細渦が強められることを明らかにした.さらに,メタン・空気乱流予混合火炎の直接数値計算結果から,未燃側に存在する非常に強い渦対により形成される大きな歪み速度によって乱流予混合火炎の局所消炎が生じることを明らかにした.その領域で火炎はカスプ状になり,渦対の作り出す対流により既燃側の高温生成物が未燃側に輸送される.また,乱流中でのPromptNOの生成機構を検討し,既燃側に凸で熱発生率が大きく,乱流運動により接線方向に圧縮を受けた火炎片ほど大きなNOの反応速度を示すことを明らかにした.
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